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てぃーだブログ › たるーの島唄人生 › ひさしぶりの大作

ひさしぶりの大作

ひさしぶりの大作
池上永一氏の「テンペスト」を読み終えた。

琉球王朝末期の真鶴という一人の女性が、男に変装し王朝を支える官吏となって波瀾万丈の人生を送るという物語。

少し前にテレビドラマで「チャングムの誓い」というのがあったが、少し似ているように感じた。

王宮のトップに登りつめるも、いきなり島に流刑になったり。

けれど「似ている」と思わせないほど背景は緻密に計算され、脇役の設定はマンガを読んでいるように愉快で面白い。

登場人物たちが、思い極まる場面で「琉歌」(りゅーか、るーか)を詠む。

「組踊り」が出てくるだけでなく、その内容を彷彿とさせる場面もある。

お勧めの本だ。



さて、この本に出てくる琉歌、池上氏のオリジナルではない。

島袋盛敏氏が集めた琉歌集「琉歌大観」にある歌を使っている。
ひさしぶりの大作

たとえば、

元聞得大君が今や遊女に落ちてしまう。その真牛にむけて片思いの津波古が詠んだ唄

たのむ方ないらぬ花の身よやれば夜夜に落ちてかはる露ど吸ゆる

(たぬむかたねらん はなぬみゆやりば ゆゆにうちてぃかわるちゆどぅすゆる)
【歌意】花の身である遊女が客を受け入れる生き様が、まるで露を吸って開く花のようだ。
それほど哀れに見える。(たるー訳)

こうした過去の古い琉歌が、登場人物たちに詠わせることによって、生き生きと艶やかに生まれ変わっている。

そういう意味でも、この本を読むと、作者が琉球をめぐる時代考証だけでなく文化芸術についても深い理解があることが、私などのような無学者でもわかる。

そして、「テンペスト」の次作品「トロイメライ」も今読んでいるところだが、
こちらも、この作者の芸術理解の高さ、
そしてそれを生き生きと私たちに見せてくれる力量の大きさに感動した。

この作者には、もっともっと琉球王朝時代の話を聞かせてもらいたいものだ。


2011年01月07日 09:18
Posted by たる一
Comments(2)
この記事へのコメント
テンペスト
寧温と真鶴(主人公)通じて、王宮の歴史の知識を深めつつ一気に楽しみました。

江戸時代の歴史とも重ね、国々 時代の移り代わりと共に同じような権力闘争が繰り代えされてたのですね。

首里城再発見もしたテンペストでした。

これからの三線 古典や民謡も少しちがう視点(気持ち)で勉強できそうです。

新ブログも読ませていただいてます。
音楽は世界共通で人の心をつないでますね。

ベトナムの彼達 異国の文化を楽み乍 頑張って欲しいです。
Posted by 藪椿 at 2011年01月09日 18:29
藪椿さん

読まれましたね〜

この本を読んでいたら首里城探索はさらに楽しいものになりそうですね。

3月にはお芝居もあるそうで、こちらも楽しみ。

トロイメライもなかなかよかったですよ。

庶民の目線でみた那覇、首里、料理そして芸能。

こちらもオススメです。
Posted by たる一 at 2011年01月10日 09:38
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